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「喜如嘉の芭蕉布」重要無形文化財指定40周年記念展示&琉球染織工芸展 @警固神社

開催会場:警固神社の地図はこちらへ

沖縄が一つの国だった昔から伝えられ
守り続けられてきた幻の布「芭蕉布」

トンボの羽のように透き通る織物はハリがありサラりとした風合いを実現。
風をよくはらむ喜如嘉の芭蕉布は、蒸し暑い季節にも涼やかな着心地を提供してくれる
至極の一品でございます。

そんな喜如嘉の芭蕉布が重要無形文化財指定され40周年を迎えます。
利久でも、そんな記念すべき年に少しでも多くの皆様に「喜如嘉の芭蕉布」を知っていただければと
記念展と共に琉球染織工芸展を開催いたします。

琉球の風に抱かれながら、喜如嘉の女性たちや
琉球の作家の想いに触れて頂くひと時をお過ごしいただければ幸いです。

下記に、喜如嘉の芭蕉布の歴史と芭蕉布ができるまでの工程を記載しております。
お時間のある方は、ぜひご覧ください。

■喜如嘉の芭蕉布の歴史
15世紀頃には琉球各地で作られていた芭蕉布。
沖縄の高温多湿の環境に適し王府だけに留まらず
庶民の間でも時には普段着として時には大切な晴れ着として
好まれたお召し物でございました。
また、琉球王府から時の幕府や清王朝へも多く献上され
多くの方々に愛されたお召し物だったと聞いております。

しかし、第二次世界大戦により多くの戦火にさらされた折には
喜如嘉の芭蕉布をはじめ、多くの琉球織物が途絶える危機に瀕し
様々な作家の方々が途絶えさせぬようにと
身体に文様帳や型紙を巻き付けて戦火を逃れたと聞いております。

そんな戦後。沖縄で途絶えつつあった芭蕉布づくりを、
工芸に高めたのが、喜如嘉の平良敏子さんです。
1944年、本土の工場で働く「女子挺身隊」に参加。
戦中、航空機を増産する工場になっていた倉敷紡績工場の
大原総一郎社長や柳宗悦氏の民藝運動に後押しされ
敏子さんらに織物を学ぶ機会が与えられました。

そして、その想いと共に沖縄に戻った平良敏子さんは
喜如嘉へと向かいましたが、喜如嘉周辺は焼け残っていたものの
芭蕉布の原料となる「糸芭蕉」の木は全て切り倒されていたそうです。

そんな苦境の中ではありましたが、とにかく糸芭蕉を絶やさぬように
そして熟練の技を必要とする芭蕉布の担い手が途絶えないようにと
喜如嘉の女性たちと共に懸命な努力を続けられたと伺っております。

その想いと共に走り抜けてきた数十年が過ぎ
1974年に重要無形文化財に指定されました。

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■喜如嘉の芭蕉布の作り方。
喜如嘉の芭蕉布は
糸の原料である「糸芭蕉」の栽培に始まり
糸作り、織りに至るまでの全ての工程を一貫して
手作業で行う日本唯一の織物でございます。

①糸芭蕉を育てる。
芭蕉布が成長するのにおよそ3年。
年に3・4回、繊維を柔らかくするために
葉と芯を切り落とし茎の芯が一定になるように育てます。

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②苧剥ぎ(ウーハギ) ※糸芭蕉の繊維=苧(ウー)
秋から冬にかけて行われる糸芭蕉の収穫。
成熟し根元がぐらぐらする木を選び、
一本一本丁寧に口割り(くちわい)という作業を行います。
口割り(くちわい)とは、
玉ねぎのように皮が重なり合っている茎を一枚一枚剥いでいき
表の柔らかい部分だけを使用するため、表の皮だけを剥いでいく作業です。
芯に向かって柔らかくなっていく特性を利用し
外側から、テーブルセンターなどに使うウヮーハー。
帯などに使うナハウー、着物に使うナハグー
染色用に用いるキヤギに分けていきます。

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③苧炊き(ウーダキ)
収穫した苧を種類ごとに分け、木の灰で作った木灰汁で炊きます。
アルカリ性の木灰汁で炊くことで繊維を柔らかくしていくのですが
アルカリ性が強すぎると繊維が切れてしまい
逆に弱すぎると煮えないので、熟練の職人でも非常に難しい作業の一つです。

④苧引き(ウービキ)
柔らかくなった苧をエービといわれる竹ばさみでしごくと艶やかな繊維が現れます。
柔らかいものは緯糸に、堅いものは色の付いたものは縦糸に繊維を選り分けていきます。
そして選り分けられた糸を乾くまで風の当たらない日陰で干しておきます。

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⑤苧うみ(ウーウミ)
乾いた繊維を親指に巻き付けながら丸め「チング」を作ります。
芭蕉布で一番時間と技を必要とする作業が苧うみです。
あらかじめ水につけて湿らせた繊維(チング)を
根元の部分から細く裂いていき糸状にしていきます。
そして結び目を小さく目立たないようにして、
色も細さも変わらない均一の一本の長い糸にしていきます。

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⑥図案づくり
必要な絣や寸法をあらかじめ計算し図案を描いていきます。
描き出される文様は身近な自然や生活の中から生み出され
現在では数百種類もあるとのことです。

⑦撚り掛けと整経(せいけい)
湿気を与えながら糸に撚りをかけていく撚り掛け。
縦糸と横糸の毛羽立ちを防ぎ糸を強くするために行われます。
そして、出来上がった糸を糸の配列にしたがって
必要な本数と長さを揃えていく整経作業に移ります。

⑧絣糸の組み合わせと絣結び
染色用の糸は、染める前に木灰汁で再度煮ることで
柔らかく染めやすくしていきます。
そして、染める部分を予めずらして固定し
まっすぐにひっぱり直し、染めない部分を
ウバサガラ(芭蕉の皮を乾かしたもの)と
ビニール紐を巻き丁寧に結んでいきます。

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⑨染色
染色は糸の一本一本にしみ込むように丹念に行われます。
喜如嘉の芭蕉布に使用している主な染料は
想思樹と琉球藍という天然の染料を用いる事が多いそうです。
そして、藍の色を出すための発酵環境を一定に保ちながら
必要に応じて水あめと木灰汁と泡盛を入れながら藍の発行を促します。

⑩織る前の準備
必要な糸が揃ったら縦絣と地糸を組み合わせ
「おさ」に一旦通す仮おさ通しを行い、
端の方をマチャと呼ばれる棒に巻き付け糸の並びがずれないように巻き取ります。
その後、そうこう通し・おさ通しを経て織りの準備が整います。

⑪織り
芭蕉の糸は乾燥すると切れやすくなるので
梅雨時期か絶えず湿気を与えられる環境で
一つ一つの絣を丁寧に織り上げていきます。

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⑫仕上げから完成まで
喜如嘉の芭蕉布は織りあがった生地を
強くしなやかにするため「洗濯」という工程を行います。
織りあがった反物を水洗いし、木灰汁で煮て
再度良く水洗いして乾かした後
米粥を発酵させてつくったユナジ液に浸します。
切れやすい糸から生まれる芭蕉布ですが
仕上げの洗濯を行うことで、強くしなやかな布に生まれ変わります。